良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法案に対する附帯決議

平成11年11月24日
衆議院建設委員会

政府は、本法の施行に当たっては、次の点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。

  1. 住宅は国民生活を支える基本的な基盤であり、ゆとりある住宅に安心して住むことが生活の真の豊かさを確保する上で重要であることに鑑み、国民の価値観や家族形態の多様化等に対応した良好で多様な居住を実現する住宅政策を通じて国民生活の安定と福祉の増進に寄与できるよう努めること。
  2. 高齢者その他の住宅に困窮する者をはじめ国民の居住の安定が図られるよう、公営住宅、公団住宅等公共賃貸住宅の計画的整備、高齢者向け賃貸住宅の供給の促進のための制度の整備等により、国民の住宅セーフティネットの構築に努めること。
  3. 良質な賃貸住宅の供給促進に必要な措置をとるとともに、住宅の居住性等に関する指針となる水準と目標を定め、その達成に努めること。
  4. 住宅性能表示については、その普及を図るとともに、性能表示に関する業務の公正かつ適確な実施を確保するため、万全の施策を講ずること。
  5. 賃貸住宅等に関する情報提供体制の充実及び相談体制の整備を図るため地方公共団体における公共賃貸住宅の事業主体間での連携が図られるよう努めるとともに、民間賃貸住宅管理業界との連携を密にすること。
  6. 賃貸人の賃貸住宅に関する情報入手の円滑化を図るため、地方公共団体において、公共賃貸住宅の募集情報の総合的提供体制の整備を図るとともに、民間賃貸住宅情報提供機関等の紹介等が行われるよう努めること。
  7. 貸人及び賃借人双方に対する相談・調整体制及び紛争処理体制の一層の充実を図るため、国民生活センター、地方公共団体の住宅相談窓口、法律相談窓口、消費者センター等における対応の強化について指導するとともに、借家相談マニュアル等の参考資料を作成し、相談機能の充実及び紛争処理の円滑化を図ること。
  8. 借家制度が国民の多くの世帯と関連を持ち、かつ、生活基盤たる住宅や事業所にかかわる重要な制度であることに鑑み、借地借家法の改正についての国民の理解を深めるため、借地借家法及び今回の改正内容の周知徹底を図ること。特に今回の改正は既存の建物賃貸借契約の更新には適用されないこと、また、定期建物賃貸借制度は、居住の用に供する建物に関して既になされた賃貸借に対しては、当該賃貸借を合意終了したとしても、当分の間、適用されないことを、あらゆる方法を通じて周知徹底させ、国民の住宅に対する不安の解消に努力すること。
  9. 賃借人の居住の安定化の観点から、当該賃貸住宅を取得しやすくするため、賃貸人による賃借人に対する当該住宅の売却情報の優先的提供に関する契約の在り方について検討すること。