たしかに従来型の普通借家契約においても、契約でその期間を定めるのが普通です。しかし借地借家法第26条
(建物賃貸借契約の更新)、あるいは借地借家法第27条(解約による建物賃貸借の終了)の規定により、借家契約期
間の満了をもって借家契約を確定的に終了することは実務上難しい状態にあります。加えて借地借家法第28条(建物
賃貸借契約の更新拒絶等の要件)によって貸主が建物を返還してもらうには、正当事由(貸主がその建物を自己使用
する理由等)が必要であり、さらにその場合でも、貸主は借主に対して財産上の給付(立退き料の支払い、又は、類
似の代替家屋の提供)が要求される場合があります。

 つまり、従来型普通借家契約において期間の定めがあっても、それにより確定的に契約が終了するわけではなく、
借主が契約の終了を受け入れる場合でなければ、更新することが原則となります。このことが、契約期間や収益の予
測可能性を失わせて、良質な借家供給を阻害する要因となり、わが国の賃貸住宅市場を歪ませています。ですから、
期限がきたら借家契約は確定的に終了する、という「定期借家制度」が必要となるわけです。

 定期借家制度が創設されたことにより、従来型普通借家では難しかった多様な貸し方、借り方が可能となり、 国民の資産である不動産の有効活用の幅が広がりました。貸主・借主双方にメリットがある定期借家制度の活用事例をいくつかご紹介します。


 大きく2つの違いがあります。

 1つ目は、借主からの中途解約権です。

 床面積が200㎡未満の居住用建物では、転勤・療養・親族の介護その他のやむを得ない事情により、生活の本拠として使用することが困難となった借主からは、特約がなくても法律により中途解約ができます(借地借家法第第38条7項)。一方、事業用建物の場合には、中途解約に関する特約を設けることにより、中途解約ができることになりますが、特約がなければ中途解約はできません。

 2つ目は、普通借家から定期借家への切り替えです。

 平成12年3月1日より前に締結された居住用建物の場合、当事者が合意しても切り替えができないこととなっています(「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」附則第3条)。他方、事業用建物の場合は、それよりも前に締結されたものであっても、原則どおり当事者の合意があれば切り替えができるということになります(※「切り替え」については、Q10を参照して下さい)。

 普通借家と同じく、定期借家の場合にも、契約終了後、建物を明け渡すときに借主は原状回復義務を負います。


 ただ、再契約をする場合には問題が生じます。再契約はあくまでも新しい契約ですから、前の契約の終了に基づく原状回復義務を果たした上で、建物を明け渡さなければならないのが原則です。しかし、再契約をする場合には、借主は同じ建物を借り続ける訳ですから、原状回復をさせても無駄になってしまいます。そこで、借主の原状回復義務を免除することになります。しかし、原状回復義務を免除しただけでは、今度は再契約の期間満了時の原状回復義務における「原状」が、再契約締結時の状態になってしまいます。つまり、再契約の期間が満了して、本当に建物を明け渡すことになったときには、最初に契約をしたときの状態に戻してもらわなければ困るのですが、それができないことになってしまいます。


 そこで、再契約をするときには、「借主は、再契約が終了するときに、当初の契約締結時の状態に回復する義務を負う」と特約で定める必要が生じてきます。つまり、契約期間全体を通じて、最初の状態に戻させる、という原状回復義務を負わせることになります。再契約を何度も繰り返す場合にも、同じような特約を定める必要があります。

 再契約は新たな契約ですから、その仲介を行う宅建業者は、再契約の締結に際して、宅地建物取引業法に基づき宅地建物取引士が宅地建物取引士証を提示して、重要事項説明をしなければなりません。また、再契約の場合には貸主の事前説明義務を省略してもよいという法律の規定はありませんので、再契約の場合であっても、貸主は書面を交付した上で、再契約の内容について事前説明を行なわなければなりません。


 以上の二つの義務は、法律上の根拠と主体が異なりますので、いずれか一つがあれば足りるということではありません。両方とも行なう必要があります。


 なお、再契約は、更新ではなく新たな契約ですので、再契約を仲介した宅建業者は、新規の契約同様に媒介報酬を請求することができます。

 終了通知を出す必要があります。


 定期借家契約は更新されることはありませんが、再契約することは可能です。再契約とは、貸主と借主が、前の契約が終了した後に同一建物につき、再度、定期借家契約を締結することをいいます。貸主に建物を使用する必要が生じたり、あるいは借主が契約を守らないなどの問題がない場合には、貸主にとっては借主に建物を貸すことで利益を得ているのですから、できるだけ長く貸したいと思うのは当然であり、定期借家契約においても、再契約をくり返していくことが考えられます。


 そして、再契約をしたいと考えている場合でも、その後の再契約の条件(賃料や期間等)について、貸主と借主が合意に至らない場合もあり得ますので、そのような場合に備えて終了通知はきちんと出しておいた方がよいのです。

 定期借家契約は、契約の更新がない旨を定める契約ですし、契約書の中に「契約終了時には必ず再契約をする」という再契約条項を入れることは、何らかの事情(たとえば、転勤中の自宅を貸していたが、転勤が終わってしまった場合など)で、再契約ができなくなることもあるので、適切ではありません。


 ただし、契約書や借地借家法第38条6項に規定する定期借家契約終了の旨の通知の中に、再契約の意向について「なお、本物件について、当事者の合意により期間の満了の日の翌日を始期とする新たな賃貸借契約(再契約)を締結することは可能です」と記載することは構いません。

 まず、回答の前提として「更新」と「再契約」を区別する必要があります。「更新」とは、普通借家契約の場合に、前の契約が終了すると同時に次の契約が前の契約と同一条件で効力を発生することを指します。(※更新については、Q5を参照して下さい)


 これに対し、定期借家契約では、「更新」はありませんが、「再契約」をすることができます。「再契約」は、前の契約の終了と同時に行わなくともよいし、再契約の条件は前の契約と同一の条件でなくてもよいという点が更新とは異なるところです。そして、契約終了時に、貸主と借主が話し合いの上、再契約するかしないかを合意により決定します。したがって必ず再契約ができるとは限りません。しかし、貸主は、建物を貸して賃料を得るというビジネスを行っているのですから、借主には出来るだけ長く建物を使ってもらい、長く賃料を払い続けてもらうことが利益になります。したがって、問題のない借主であれば、通常、貸主は定期借家契約を再契約したいと考えるものと思われます。借主も、転居したいという希望があれば契約の終了により転居すればよいのですが、そうでない場合は、貸主と同意できれば再契約をして建物を利用し続ければよいのです。


 ただし、市場賃料の動向により貸主と借主の間で再契約後の賃料につき合意できなかった場合や、建物の老朽化による建替えや再開発の問題が生じたとき等には再契約できない場合もあり、このことは、定期借家契約においては避けることができませんので、注意が必要です。

 床面積200㎡未満の居住用建物の賃貸借においては、中途解約を許す旨の特約がなくとも、転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、借主が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、1ヶ月前の予告で借主から解約できます(借地借家法第38条7項)。床面積200㎡未満ということは、ほとんどの居住用の定期借家が該当しますが、それ以外の場合(事業用の定期借家や200㎡以上の居住用借家の場合など)は、中途解約の特約を結ばなければ中途解約できません。


 定期借家における中途解約の特約については、普通借家における中途解約の場合と同様に、借主が家賃の数ヶ月分を賠償することにより中途解約をすることができる旨を定めることが可能です。


 たとえば、3~6ヵ月前に予告をして中途解約ができるが、それに代えて3~6ヵ月分の賃料を借主が損害賠償することで、直ちに中途解約することができる等とするものです。これにより、貸主は、3~6ヵ月分の賃料を取得できますし、借主は直ちに他の場所に移ることができるようになりますので、双方にメリットが生じます。

 定期借家だけでなく、普通借家においても、期間の定めのある契約においては、期間の途中で解約することを許す旨の特約がなければ期間中に解約できないのが原則です。


 しかし、定期借家においては、そのような特約がなくとも居住用の200㎡未満の建物の場合は、借主に転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、借りた建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から1ヶ月前に予告することにより、借主からの一方的な意思表示による中途解約が可能です(借地借家法第38条7項)。(※Q16を参照して下さい)

 「その他のやむを得ない事情」とは、契約したときには予測が困難または不可能であり、その事情が発生すると、借主が生活の本拠として使用することが困難となるものであり、長期の海外留学・海外派遣や、勤務先企業の倒産・解雇による家賃支払いの困難、リストラ等で転職を余儀なくされて転居する場合も含まれると思われます。


 この規定は、強行規定ですので、契約書において借主からの中途解約を許す旨の特約を結んでいない場合でも、借主からの中途解約が認められます。


 なお、契約で借主に中途解約を認める特約を結んでいれば、借主からの一方的な意思表示による中途解約が可能であること、及び特約がなくとも、貸主と借主が合意すれば、期間の途中で解約すること(合意解約)も可能であることは、普通借家契約の場合と同様です(民法618条)。

 定期借家契約は、契約時に期間を定めている契約期間が確定した契約です(確定期限)。契約中に貸主の事情が変わったとしても、契約期間内は貸主から契約を解約することはできません。それまでは、貸主はどこかの借家を借りて住んでいただくことになります。


 しかし、話し合いなどにより借主が立ち退きを了承する場合には、退去していただくことは可能です(合意解除)。


 転勤の場合、転勤期間があらかじめ分かっているとは限りません。会社の都合で転勤期間が短縮される場合もありますし、退職ということもあり得ます。定期借家契約は、確定期限の借家契約ですので、「転勤からもどるまで」というような不確定期限の契約は認められないということに注意が必要です。そこで、契約期間を1年未満の短期にしておき(例えば、異動月に合わせて6ヶ月にする等)、再契約を続けるという方法もあります。また、再契約後の期間は最初の契約の期間と異なっても構いません。

 期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に終了通知をしたのに、期間が満了しても借主が退去しない場合は、貸主は、借主に対して、建物明渡請求訴訟を提起することになります。なお、借主は不法占拠者ということになりますから、「正当事由」が必要とされた普通借家のように、借主、貸主双方の建物を必要とする事情や建物の老朽化などの期間満了以外の事情が考慮されることはありません。

 

 この規定は、200㎡未満の居住用建物の借主の中途解約を定めたものですが、借主は、やむを得ない事情で、賃借している建物を自己の生活の本拠として使用することが出来なくなった場合は、中途解約ができる旨の特約がなくとも、解約の申入れ日から1カ月を経過することによって定期借家契約を解約することができるというものです。

 しかし、この中途解約はむやみやたらにできるわけではなく借主に転勤、療養、親族の介護などのやむを得ない事情が発生した場合に限る、との歯止めが設けられています。

 また、この規定は強行法規となりますので、特約で「中途解約はできない。」とか経過期間として、たとえば2~3ヵ月を要するものとしても無効となりますので、注意して下さい(※Q19を参照して下さい。)。


 貸主が終了通知義務を怠った場合には、借主に契約終了に関する注意を喚起して、再契約のための交渉や代替建物を探すための期間を最低6ヶ月間確保するために、貸主が賃貸借の終了を借主に対抗できないものとしています(借地借家法第38条6項)。


 しかし、これはあくまでも上記のように借主を保護するための規定です。借主が同意するのであれば、通知の有無にかかわらず、当初の期間の満了により定期借家契約を終了させることは可能です。


  ただし、借主が同意していたことを後日証明できるように、念のため「同意書」などを交付してもらったほうかがよいでしょう。

ありません。

  そもそも、期間満了の通知義務は、借主が、契約期間を忘れてしまう懸念が想定されるところから、それを防止するため、あるいは貸主が再契約の意思がない場合、借主に代替の賃貸建物を探す余裕を与えるために設けられた規定です。しかし、契約期間が1年未満の場合、借主が期間満了を失念することは通常考えられませんので、終了通知義務は契約期間が1年以上の場合に限られたのです。

 書面による説明義務を怠った場合には、建物賃貸借契約のうち、契約の更新がないこととする特約(定期借家契約である旨)の部分のみが無効とされますので、その契約は普通借家契約であったものとみなされます。したがって、法定更新(借地借家法第26条)、正当事由(借地借家法第28条)等の規定の適用を受けることになります。

 なお、Q12のとおり、書面を交付しただけでは足りず、口頭での説明も必要ですから、注意して下さい。

 定期借家制度が創設されたことにより従来型の普通借家契約と定期借家契約の二つの制度が並立することになったため、貸主が定期借家の趣旨を十分に理解しないまま定期借家契約を締結してしまった後でトラブルになることを、契約の段階で未然に防ぐことが当事者双方にとって重要です。そこで、この規定は、借主の意思決定のための情報を十分に与える観点から、書面による契約に加えて、貸主に書面による説明義務を課したものです。


書面には、

  1. 契約の更新がないこと
  2. 期間の満了により賃貸借が確定的に終了すること
  3. 契約の終了年月日
などを記載します。

標準様式の「定期賃貸住宅契約についての説明」を参照してください。
なお、書面を交付して口頭で説明することが必要なので、注意して下さい。

 第29条1項は、1年未満の建物の賃貸借契約は期間の定めのない契約とみなす、という規定です。


 賃貸借の形態も多様化しており、数カ月の短期間や海外出張の間だけ貸したいというニーズもあります。定期借家契約であれば、1年未満の契約期間でも期間の定めのある契約として設定できるということになります。

 普通借家を定期借家に「切り替える」のは、原則可能です。ただし、定期借家制度が施行された平成12年3月1日(定期借家制度が施行された日)より前に締結された普通借家契約のうち、居住用の建物については、たとえ当事者の合意があっても、当分の間、切り替えができません(「良質な賃貸住宅等の供給の促進に関する特別措置法」附則第3条)。

 なお、「切り替え」には、既存の普通借家契約を解約する旨の合意と、同一建物につき新たに定期借家契約を設定する旨の合意が必要となります。

 必ずしも公正証書の必要はありません。借地借家法(第38条1項)では、公正証書としており、定期借家契約である旨(契約の更新がなく期間満了をもって終了すること等)が明記してあれば、別の契約書形態でもよいとしています。事業用建物の賃貸借契約の場合は長期契約の例もありますが、一般的な居住用賃貸借期間は、2~3年が多いと思われます。短い賃貸借期間の契約に、公正証書を義務づけることは、公証人の手数料もかかり手間もかかります。つまり当事者の負担増となりますので、当事者の意思が確認できれば、公正証書以外の契約書形態でもよいとしたわけです。

 普通借家の場合と異なり、定期借家の場合、賃料増減請求権(借地借家法第32条)を排除することが可能です(借地借家法第38条9項)。このような特約を「借賃の改定に係る特約」といいます。

この特約が有効であるためには、賃料を客観的に定めるものであることが必要とされますので、例えば「賃料を当事者間の協議で定める」旨を定めるだけでは、単に賃料の決め方を定めたものにすぎず有効とはいえません。そこで、例えば「契約期間中は賃料の改定を行わないものとし、借地借家法第32条の適用は排除する」(賃料は具体的な金額で固定されますので、客観的に定めたことになります)などと定めることが考えられます。

①「礼金」は、「敷金」とは異なり、契約終了時に返還されない一時金であり、通常、賃料の数カ月分程度が支払われます。「礼金」の授受は、更新が原則である普通借家(正当事由借家)契約における慣行であり、必ず支払われるものではありませんが、支払われるときは礼金が立ち退きの際のトラブルや金銭出費を事前に償う機能をもっていました。


 定期借家契約においては、立退きの際に「立退料」を支払う必要がないので、「礼金」の授受の意味は小さくなりました。国土交通省住宅局策定の「定期賃貸住宅標準契約書」でも、「礼金」の記載欄はありません。


②「保証金」は、一般的には「敷金」と同じ意味で使われており、借主の賃料不払いなどの債務不履行に備えて貸主が預かっておく金銭です(預り金)。定期借家においても借主の賃料不払いなどの債務不履行は起こりうるのですから、一定額の保証金を預かっておくことは許されますし、合理的です。


③関西などでは、借主の入居時に「保証金」という名称の金銭を貸主に預け入れ、明渡し時において、借主の未精算の債務の有無にかかわらず、一定額は返還しないという慣習が行なわれています。この一定額が「敷引額」であり、実質的には上記①の礼金と同等の役割を果たしています(後払いの「礼金」ともいえるかも知れません)。また、借主に賃料の不払いなどの債務があれば、その分は保証金(性質は敷金)から差し引かれることになります。「敷引」も礼金と同様、貸主と借主の合意があれば定期借家契約においても行なうことが可能ですが、やはり定期借家契約においては、その実質的意義が小さくなりました。

 定期借家契約だからといって必ずしも賃料が下がる訳ではありません。ただし、契約期間の長短、契約時の条件等により、普通借家契約の賃料より下がることもあり得ます。逆に、居住面積の広い良質な住宅等ならばそれに見合った賃料設定となりますし、結局、需要と供給の市場原理で賃料が決まることになります。


 最近の市場動向をみると、ほぼ同レベルの物件について定期借家契約と普通借家契約を比べると、礼金などを含めた総額としての賃料は、多額の立退料の支払いや継続賃料抑制主義などのリスクやコストが軽減される分、定期借家の方が安くなる傾向があるようです。

 定期借家制度では、あらかじめ定められた期間(確定期限)を貸す賃貸借契約だけが認められています。契約期間が満了すると確定的に賃貸借契約が終了する契約形態です。したがって、契約時に貸主と借主の間で賃貸借契約について一定の期間(始期と終期)を定めなければなりません。20年以上の長期でも、1年未満の短期でも、貸主と借主の合意があれば自由に決められます。居住用の場合、通常は2年契約が多いようです。


 契約締結時に一定の期間を定めないと、定期借家契約と認められず、普通借家契約として法定更新(借地借家法第26条)や正当事由(借地借家法第28条)等の規定が適用されますから、注意が必要です。


 契約期間終了後は、貸主、借主合意の上、再契約することが可能です。また、再契約の契約期間も当初の契約期間に関係なく定めることができます。

 まず、ご注意いただきたいのですが、定期借家契約では、期間満了をもって借家契約関係は終了するので、更新という概念はありません。したがって、引き続いて借りたいという場合は、再契約となります。ここが普通借家契約と違う重要なところです。従来型の普通借家契約においては、借家契約の期間が満了した際の更新には、法律の定めにより更新する法定更新と、当事者の話し合いで更新される合意更新の二つがあります。


 法定更新とは、契約期間が満了しても、貸主に正当事由がない限り貸主は更新を拒絶できず、法により自動的に更新されることです。法定更新後の借家契約は、期間の定めなき借家契約となり、かつ契約条件は従前と同一条件とみなされます(借地借家法第26条)。


 合意更新の場合は、合意条件を話し合って更新契約を締結するものですが、合意ができないまま期限が到来した場合は法定更新(この場合、従前と同一条件で期間の定めのない契約として更新される)となるおそれが生じますし、継続賃料抑制主義の下では改定家賃が市場家賃よりも低く抑えられるおそれもあります。


定期借家契約では、法定更新も合意更新もありません。すべて再契約となります。