まず、ご注意いただきたいのですが、定期借家契約では、期間満了をもって借家契約関係は終了するので、更新という概念はありません。したがって、引き続いて借りたいという場合は、再契約となります。ここが普通借家契約と違う重要なところです。従来型の普通借家契約においては、借家契約の期間が満了した際の更新には、法律の定めにより更新する法定更新と、当事者の話し合いで更新される合意更新の二つがあります。
法定更新とは、契約期間が満了しても、貸主に正当事由がない限り貸主は更新を拒絶できず、法により自動的に更新されることです。法定更新後の借家契約は、期間の定めなき借家契約となり、かつ契約条件は従前と同一条件とみなされます(借地借家法第26条)。
合意更新の場合は、合意条件を話し合って更新契約を締結するものですが、合意ができないまま期限が到来した場合は法定更新(この場合、従前と同一条件で期間の定めのない契約として更新される)となるおそれが生じますし、継続賃料抑制主義の下では改定家賃が市場家賃よりも低く抑えられるおそれもあります。
定期借家契約では、法定更新も合意更新もありません。すべて再契約となります。