定期借家だけでなく、普通借家においても、期間の定めのある契約においては、期間の途中で解約することを許す旨の特約がなければ期間中に解約できないのが原則です。
しかし、定期借家においては、そのような特約がなくとも居住用の200㎡未満の建物の場合は、借主に転勤、療養、親族の介護その他のやむを得ない事情により、借りた建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、借主から1ヶ月前に予告することにより、借主からの一方的な意思表示による中途解約が可能です(借地借家法第38条7項)。(※Q16を参照して下さい)
「その他のやむを得ない事情」とは、契約したときには予測が困難または不可能であり、その事情が発生すると、借主が生活の本拠として使用することが困難となるものであり、長期の海外留学・海外派遣や、勤務先企業の倒産・解雇による家賃支払いの困難、リストラ等で転職を余儀なくされて転居する場合も含まれると思われます。
この規定は、強行規定ですので、契約書において借主からの中途解約を許す旨の特約を結んでいない場合でも、借主からの中途解約が認められます。
なお、契約で借主に中途解約を認める特約を結んでいれば、借主からの一方的な意思表示による中途解約が可能であること、及び特約がなくとも、貸主と借主が合意すれば、期間の途中で解約すること(合意解約)も可能であることは、普通借家契約の場合と同様です(民法618条)。