たしかに従来型の普通借家契約においても、契約でその期間を定めるのが普通です。しかし借地借家法第26条
(建物賃貸借契約の更新)、あるいは借地借家法第27条(解約による建物賃貸借の終了)の規定により、借家契約期
間の満了をもって借家契約を確定的に終了することは実務上難しい状態にあります。加えて借地借家法第28条(建物
賃貸借契約の更新拒絶等の要件)によって貸主が建物を返還してもらうには、正当事由(貸主がその建物を自己使用
する理由等)が必要であり、さらにその場合でも、貸主は借主に対して財産上の給付(立退き料の支払い、又は、類
似の代替家屋の提供)が要求される場合があります。
つまり、従来型普通借家契約において期間の定めがあっても、それにより確定的に契約が終了するわけではなく、
借主が契約の終了を受け入れる場合でなければ、更新することが原則となります。このことが、契約期間や収益の予
測可能性を失わせて、良質な借家供給を阻害する要因となり、わが国の賃貸住宅市場を歪ませています。ですから、
期限がきたら借家契約は確定的に終了する、という「定期借家制度」が必要となるわけです。
Q.1定期借家契約はなぜ必要なのですか?普通借家契約でも、借家期間は明示されているはずですが?
A.1
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