4.その他の留意点

1.建物賃貸借の期間

1.  1年未満の契約

定期借家契約の場合には、1年未満の契約も有効です。
なお、従来型の普通借家契約の場合は、契約で定めることができる期間は最短が1年とされており、1年未満の期間を定めても、期間の定めのない契約となります。

2. 賃料改定の特約

契約で定めることができる賃貸借期間の最長期間は、民法では20年と定められていますが、平成11年の改正借地借家法により、建物の賃貸借にはこの民法の規定を適用しないこととされました。したがって、定期借家、普通借家を問わず、20年を超える期間の建物賃貸借契約もすることができます。

2.賃料改定の特約

借地借家法は、契約の当初に賃貸人と貸借人が賃料を定めたとしても、その後に事情が変更したために、賃料が不相当になった場合には、賃料の増減請求権を賃貸人と借家人の双方に認めています(第32条)。しかし、定期借家契約においては、賃料の改定の特約を締結した場合には、この借地借家法32条の「賃料の増額減額請求をすることができる」という規定の適用がなされません。つまり、増額にせよ、減額にせよ、当事者間の特約が著しく不合理でないかぎり特約の定めに従うということになりました。

3.既存の契約に不適用

定期借家制度が施行された平成12年(2000年)3月1日より前にされた従来型の建物賃貸借契約については、定期借家制度の規定は遡って適用はされません。また、定期借家制度が施行された平成12年(2000年)3月1日より前にされた、居住用の建物賃貸借については、その賃貸借契約を終了させ、引き続き新たに同一の建物を定期借家の目的とすることは、たとえ当事者の合意があったとしても、当分の間はできないと定められています。